私が婚活時代に結婚相談所で出会ったお相手の話です。
事実に基づいていますが、個人が特定されないように多少フィクションを含みます。
≪お相手≫ アクアさん 30代前半 会社員
お見合い
アクアさんからお見合いの申し込みが来て、プロフィールを見たとき、「いい条件の人だな」と思いました。年収、家柄は申し分なく、身長が平均より低めであることを除けば、他はいたって普通レベルの人だったからです。
ありがたくお見合いさせてもらいましたが、お見合い中からアクアさんの私に対する好意がガンガンと伝わってきたのには驚きました。もちろん私は一目惚れされるような外見ではないし、初対面で好かれるようなスキルも持っていません。
だから、嬉しいというよりは「なんで?」という疑問のほうが大きかったです。私のほうも同じ熱量でアクアさんに好意を持てていたら、まだよかったのですが、「いいとも悪いとも言えない」というのがお見合いを終えての正直な感想でした。
仮交際開始
アクアさんからは、お見合い後すぐに「仮交際希望」という意思表明がありました。お見合い中の様子からしてそれは想定内でしたが、こんなにすごい勢いで好かれた経験のない私は、

こんなことってある?あの人、どういうつもり?
と戸惑いました。ただ、アクアさん自身に非があるわけではないし、お見合いの時間だけで決断できるほどの情報量は得られなかったので、「もっとアクアさんを知りたい」という思いで、仮交際をスタートさせました。
仮交際中、アクアさんはいつも愛車のAQUAで迎えに来て、帰りも必ず送ってくれました。私のことを本当に大切にしてくれ、2回目のデート後にプロポーズしてくるほど、愛情がダダ漏れ状態でした。
いい人なのに好きになれない
私は「女性は愛されたほうが幸せ」だと常々思っていたので、アクアさんとの関係は理想的でした。でも、結婚相手チェックリストは会うたびに〇が減っていき、アクアさんが私の結婚相手に適していないことは一目瞭然でした。
それなのに、アクアさんとの仮交際を終わらせなかったのは、私のズルさが原因です。男性から好意を寄せられることに慣れていない私は、「こんなにも好きになってくれる人、もう二度と現れないかもしれない」と思うと、なかなかアクアさんとの関係に終止符を打てなかったのです。
だから、チェックリスト上は明らかに「結婚相手はこの人ではない」とわかっているのに、「もっとアクアさんのことをよく知ったら、好きになれるかも」と期待して、ダラダラと交際を続けました。

いい人なんだけどな…好きになれたらどんなにいいことか
そう思いながら、【婚活相手 好きになれない】【好きじゃない人 結婚】等と夜な夜な検索したこともありました。
新たなお見合い
「結婚したら幸せにしてくれそう」っていう人、いますよね。アクアさんはまさにそのタイプでした。だから、「私が好きじゃなくても、相手が私のことを好きならそれでいいんじゃないか」と思うようになり、一時はアクアさんと真剣交際に進むことも考えました。
ただ、仲人のNさんに相談すると、「真剣交際を考える前に、もう一名とお見合いしてみませんか」と言われました。当時、私はアクアさんの他にも仮交際している人がいたので、正直、「2人と仮交際中なのに、さらにお見合い?」と少し気が引けました。
でも、Nさんに絶大な信頼を寄せていたし、お見合いのオファーは基本的に断らないスタンスでやっていたので、受けることにしました。結果的に、この時のお見合い相手が夫だったので、Nさんの提案はファインプレーでした。
広がる温度差
毎日でも会いたがるアクアさんを抑制しつつ、10日に1回はデートしていましたが、私たちの温度差は埋まるどころか広がるばかりでした。最も萎えたのは、「井上真央に似てる」と言われたこと。
私はブスなので、井上真央さんには1000%似ていません。でも、アクアさんは私のことがそんな美人女優に見えていて、だからこその好き好き攻撃だったのかと思うと…

夢から覚めたら終わりなパターンだな
と冷静になりました。「好きになったら可愛く見える」とは言いますが、ブスが美人に見えるという意味ではないですよね。美人に見えている間は良くても、何かをきっかけにその魔法が解けたら、アクアさんの愛情もなくなってしまうのだと思いました。
「次はない」という強迫観念
その証拠に、アクアさんが褒めるのは私の外見ばかりで、内面にはほとんど触れてきませんでした。「気が合う」みたいな話はありましたが、私からすると「そうかな?」と思うようなことでした。
結婚がしたいだけなら、美人に見えている状況を利用して突き進めば結婚できたでしょう。アクアさんは、私との結婚生活が頭の中でプランニングされているようで、会うといつもその計画をやんわりと伝えてきました。
でも、結婚相手には外見なんて変わりうるものではなく、私の変わらない部分も好きになってもらいたかったし、私自身も相手を好きになってから結婚したいと思いました。
「次はないかもしれない」という思いは、そういった当たり前の感情でさえ揺るがすほどのものです。夫との関係が順調に進んだたため、アクアさんとの関係を終わらせる決断ができましたが、夫との出会いがなければ、私はしばらくくすぶっていたことでしょう。
まとめ
私のことを美人扱いして優しく接してくれたのは、後にも先にもアクアさんだけです。なぜ美人に見えていたのかは不明ですが、ブスの人生しか知らなかった私にとっては貴重な経験でした。
ただ、「外見で人を判断するものではない」というのは、良くも悪くも言えることなのだと感じました。外見は不確定要素です。せっかく作成した結婚相手チェックリストの有効性も無視してはいけません。
今でもAQUAを見るたびに、思い出してしまうほど印象深い人になったアクアさん。今頃どこかで幸せに過ごしていることを願っています。
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